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世界的に有力な日本の金融機関が存在することは、国際金融センターになるために絶対的な必要条件ではない。
中国、大陸欧州には世界的に規模の大きい金融機関が存在する。
だからと言ってマドリードや北京が国際金融センターになることはあるまい。
日本でも、規模だけなら、郵貯銀行、簡保生命保険が世界一である。
現在、残念ながら世界的に活躍する日本の金融機関は存在しない。
国際競争力が高いとは言えない日本の金融機関が世界的に活躍することを期待するのは容易でない。
また、多くの世界の有力金融機関はアジアの拠点を東京から香港にシフトしつつある。
香港の方が東京よりも収益が大きく、かつ将来性も高いからであろう。
過去の実績から判断して、日本の金融機関が世界の主要金融市場において活躍することは容易でないだろう。
ただし、成長性の高いアジアで活躍することは可能であろう。
日本の金融機関が日本以外で活躍することに挑戦することを期待する。
GVAベースで、英国経済全体の7・7%がサービス業である。
製造業が7・0%であるのに対し、サービス業の割合が大きいことがわかる。
GVA額が最も大きいのは不動産業で、次いで卸・小売業(2.6%)、金融サービス業(7.7%)の順となっている。
英国の金融サービス業のシェアは、03年の5.2%から、04年には7.7%と、2.5ポイント増加している。
製造業のシェアが17年の4・4%から、03年には17・6%と、4.8ポイントも低下しているのとは対照的である。株式時価総額において、英国の最大の企業はオイルメジャーのBPである。
エネルギーではBPの他にロイヤル・ダッチ・シェル、通信サービスではボーダフォン・グループ、薬品ではグラクソ・スミスクラインが、英国の時価総額上位に入っている。
時価総額上位7社のうち、銀行はHSBCを筆頭に3社(他、ロイヤルバンク・オブ・スコットランド、スタンダードチャータード銀行)がランクインしている。
このように、ウィンブルドン現象と言われながら、商業銀行は活躍していることがわかる。
金融業において世界最大の規模を持つのは米国であるが、米国経済自体が大きいので、その影響は限定的である。
米国の経済全体に占める産業別割合では、不動産、製造、専門・ビジネスサービスの順に大きい。
金融保険業は03年実質GDPの7.9%の割合を占めている。
04年に米国の実質GDPは、2.0%成長した。
これに対し、金融・保険業の寄与度は、0.Nポイントである。
日本のGDPに占める金融・保険業の割合は6.5%である。
この数字は概ね世界の先進国並みである。
第3次産業の割合は約7割であるが、産業別では、サーお金にも働いてもらうビス業(構成比17・5%)、製造業(同17・6%)、卸売・小売業17・0%)の順となっている。
株式時価総額でも、日本は世界平均よりも金融の構成比が17・5%と低いものの、著しく低いわけではない。
同様に、英国のそれは4・9%である。
よって、全体の規模の面では、英国の金融業が世界的に突出して大きいわけでもなく、日本の金融業が著しく劣るわけでもない。
以上を総合すると、英国の経済、企業の中で金融の構成比が相対的に大きいことは事実であるが、一般にはやや過大評価されるきらいがあると言えよう。
証券投資収益は個人と金融機関が主な受益者である。
財務省の「本邦対外資産負債残高」によると、年末の対外証券投資残高は288兆円と、07年末の118兆円と比較して大幅に増加している。
また、日本銀行が公表している「資金循環表」では、対外証券投資の資産残高は04年度末には364兆円で、その半分を金融機関が保有する。
投資主体別の対外証券投資は、金融機関182兆円(構成比17・1%)、一般政府111兆円(同17・4%)、非金融法人17兆円(同17.0%)、家計10兆円(同3.5%)であった。
投資収益は米国と比較して著しく低く、かなり改善する余地があると思われる。
04年の米国の家計部門の配当・利息収入は2.0兆ドル(200兆円)である。
米国の03年の名目GDP7・8兆ドルの6・5%である。
家計部門の利払いを控除した純金融収支は1.7兆ドル(170兆円)である。
米国の名目GDPの8・6%である。
03年は2.0兆ドル(200兆円)である。
純金融収支は1.8兆ドル(180兆円、同)である。
ただし、17年は利下げの影響で家計部門の配当・利息収入が減少しよう。
同様に、日本の家計部門の配当・利息収入は10・1兆円である。
家計部門の利払いを控除した純金融収支は6.8兆円である。
03年の名目GDP516兆円の1.3%にもちろん、金利やインフレの水準が異なるので、日米を単純に比較することはできない。
しかし、日本の家計部門の資産運用の多様化と国際化を行う余地はかなり高いと思われる。
日本経済や産業活動において金融が果たす役割は数多く存在する。
その中でも、資金調達ある。
すべての面で日本が改善すべき課題は多いが、最も重要であるものを一つ挙げるとすると、個人金融資産の運用の活性化であると思われる。
東京が国際金融センターになるにあたって比較優位にあるのは、日本が世界2位のGDP、世界2位の個人金融資産を保有していることである。
資産構成をみると、現金・預金の比率が17%を占め、他の先進国と比べても高い水準にある。
また、株式、投資信託の割合は、米国と比べて著しく低い。
年次ベースの推移をみると、現金・預金および債券は減少傾向にある一方で、投資信託および保険・年金準備金は増加、株式・出資金は17年代頃の水準に戻りつつある。
これまで日本はものづくりの成功で、金融資産を蓄積してきた。
その結果、1467兆円もの個人金融資産が蓄積された。
そこで、国際分散投資を促進することにより、投資収益を増加させることは可能であろう。
従来は、日本はものづくりによってお金を稼ぐことに注力してきたが、稼いだお金を有効に運用することにはあまりエネルギーを注いでこなかったと思われる。
資源国でない日本において製造業が重要であることは論を待たない。
例えば、トヨタ自動車のように、ものづくりによって巨額の利益を稼ぐことは大いに尊ばれる。
たしかに、金融が日本経済の牽引車になることはあり得ないだろう。
製造業を重視することと、それにより蓄積された資本を有効活用することは両立するはずである。
今後は、製造業と金融、あるいはそれに付随する知的サービスをバランスよく日本経済の成長促進に活用すべきであると考える。
日本最大の都市であり首都でもある東京に、世界的なビジネスセンターが存在すれば、当然、活用する日本企業や国民にメリットがある。
世界的なビジネスセンターは、国際金融センターより大きい概念である。
よって、世界的なビジネスセンターの地位を強化するために、国際金融サービス機能が必要なのである。
国際金融センターの育成、あるいは金融・資本市場の国際化は、国家の成長戦略とグローバルな都市間競争に関わる戦略の双方にまたがっているものである。
これらを両立させることが重要である。
産業振興のための金融機能強化、投資収益の増大、金融業の育成などによって、国家としての日本に大きな恩恵をもたらすことが期待される。
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